• 2025年7月9日

家族性高LDL血症(遺伝による脂質異常症)とは?

 健診でLDL(悪玉)コレステロールが高いと言われましたといって来院される方と多くお会いします。よくよく話を聞くと、LDLが高い家系だからとか、遺伝性だからとかという話になります。もちろん遺伝性高LDL血症は動脈硬化につながるため治療が必要となることが多いです。しかし、同じ遺伝性の高LDL(悪玉)コレステロール血症でも、二つのパターンがありますので軽く説明いたします。家族性高脂血症(FH)と複合型家族性高脂血症(FCHL)のⅡ型の表現型の場合です。

 少々難しい言葉ですが、前者のFHの場合は、LDLが少なくとも180mg/dlを超え、若いうちから心筋梗塞などの血管イベントを起こすので、早期からの治療が必要になります。黄色っぽいふくらみ(コレステロールの塊)がまぶたにできるのが特徴的です。場合によっては自己注射での治療が必要になることもあります。私の経験から言うと、お薬を使用しても、なかなか脂質のコントロールが難しいです。

 一方、後者のFCHLの場合は、FHに比較すると、動脈硬化は比較的緩徐に進行します。遺伝に加えて、環境的な因子も影響します。ただし、注意しなくてはいけないのは、中性脂肪も一緒に高い場合です。中性脂肪が高いと、FCHLでも動脈硬化性疾患のハイリスクとなります。お薬でコレステロールは比較的簡単にコントロールできますが、中性脂肪を下げるためのお薬を同時に服用していただくこともあります。

 当院では、動脈硬化の診断およびリスクを分析し、適切な治療をおこなえるよう心がけております。遺伝的な脂質異常症と思われる方、健診でLDL(悪玉)が高いと指摘された方は、是非一度ご相談ください。

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